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レンタカー事業で懸念されるリスクとは? よくある失敗事例や成功のためのリスク対策を解説

レンタカー事業は観光・レジャーの需要の増加や、都市部を中心としたマイカー保有率の低下などを受け、市場がどんどん拡大しています。ただし、レンタカー事業にはリスクも伴うため、安易に参入すると撤退を余儀なくされる可能性があります。

そこで本記事では、レンタカー事業が抱えるリスクについて徹底解説するとともに、よくある失敗例や、主なリスク対策についてまとめました。これからレンタカー事業を始めたい方や、リスクを低減させる方法を模索している方はぜひ参考にしてください。

車両トラブルだけではない? レンタカー業界に潜むリスク

レンタカー事業のリスクとして、車両の故障やメンテナンス費用などを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、レンタカー業界に潜むリスクは車両に関するものだけではなく、顧客対応や経営、地域特性と多岐にわたります。

これらのリスクを正しく理解していなければ、いざレンタカー事業を始めたときに大きなトラブルに発展したり、損失を出したりする原因になるため注意しましょう。ここではレンタカー業界の主なリスクを4つに分けて解説します。

車両に関するリスク

車両に関するリスクは、事故・故障、盗難やいたずら、資産価値の下落、そしてメンテナンス費用の4つに分類されます。

このうち比較的発生頻度が高いのが、事故・故障のリスクです。レンタカーで事故を起こされた場合、車両の修理費用はもちろん、事故の相手方への損害賠償や車両を修理している間の損失など、さまざまな問題が発生します。同様に、車両が何らかの理由で故障した場合も、修理費用や休業補償のリスクを負わなければなりません。

盗難やいたずらについても、事業所の敷地内で発生するものだけではなく、レンタカー利用中に被害に遭うことも考えられます。さらに、老朽化に伴う資産価値の下落や、車検・点検といったメンテナンス費用の負担が経営を圧迫する可能性もあります。

顧客対応に関するリスク

レンタカー事業における顧客対応のリスクは、大きく3つに分けられます。

一つ目は、クレームのリスクです。顧客は、期待していたようなサービスや接客が受けられなかった場合、不満やストレスを感じてクレームを入れてくることがあります。

「車に特定の機能が付いていない」「接客の態度が悪い」「免責金額やNOC料金を取られて納得がいかない」など理由は多岐にわたります。クレームに対して適切に応じなければ、顧客離れや悪い評判の流布、業務の停滞などのトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。

二つ目は、事故時の対応リスクです。レンタカー利用中に事故が発生した場合、顧客はレンタカー会社にも連絡を入れてくるため、事故処理についてアドバイスしたり、保険についてアナウンスしたりする体制を整えておく必要があります。

三つ目は、悪質な利用客によるトラブルリスクです。レンタカーは不特定多数の人が利用するため、中にはスタッフに暴言を吐いたり、レンタカーを返さずに乗り逃げしたりする悪質な利用客が来店する可能性があります。大切なスタッフや車を守るためにも、悪質な利用客への対処法や防犯は徹底しておくのが大切です。

経営に関するリスク

冒頭でも説明した通り、レンタカー事業は需要や市場の拡大により、新規参入が活発化している業界の一つです。そのため競争が激化しており、どこで事業を始めたとしても、価格競争やシェアの奪い合いから逃れられません。

また、近年問題になっている燃料価格の高騰や、レンタカー事業および自動車に関連する法律や制度が改正・変更された場合の対応など、景気や情勢にまつわるリスクも懸念されます。これらのリスクは経営に大きな影響を与える可能があり、何の対処もせずに放置した場合、倒産や破産につながる恐れがあるため要注意です。

地域特有のリスク

レンタカー事業を開始する場所によっては、その土地特有のリスクを被ることもあります。例えば、観光地では大型連休や夏季休暇などのハイシーズンと、それ以外の通常期では需要が大きく異なります。

ハイシーズンでは特に苦労もなく集客できますが、通常期では集客に注力しなければ利益が大幅に落ち込む可能性もあるでしょう。また、過疎化が進んでいる地域では競合リスクが低い、地代家賃が安いメリットがある一方、利用者が少なくて経営が立ち行かなくなる恐れもあります。さらに、日本は自然災害が多い国であるため、地震や台風で車両が被害に遭うリスクも考慮する必要があります。

資金計画が甘い、車両管理の不備……レンタカー事業のよくある失敗

レンタカー事業で起こり得るリスクに対する備えが不十分だと、たちまち経営難に陥る可能性があります。実際、対策や準備が間に合わず、レンタカー事業から撤退した事例は決して少なくありません。レンタカー事業で成功するためにも、よくある失敗例から必要な知識や教訓を学んでおきましょう。ここではレンタカー事業でよくある失敗例を3つ紹介します。

資金計画の甘さが原因で失敗

Aさんはレンタカー事業の立ち上げの際、初期投資の全てを貯金から出しました。金融機関などから融資を受けると利息の支払いが無駄になると判断したからです。貸店舗の家賃の前払いや、車両の購入費、広告宣伝費などで貯金のほとんどを使い果たしましたが、何とか融資を受けずにレンタカーを開業できました。

ところが、開業してしばらくたてば固定客が付くだろうという見込みは外れ、収益はなかなか上がりません。集客対策が足りないのかと新たな広告を打つことを検討するも、初期投資で貯金は底を突いていました。SNSを利用するなど無料でできる集客対策を取り入れましたが、すぐに効果が表れることはなく、慌てて金融機関に融資を申し込まざるを得ない状況になりました。

Aさんの失敗の原因は、資金計画が甘かったことです。レンタカー事業は初期投資だけではなく、開業後も店舗や車両の維持費、広告宣伝費などさまざまな経費が継続的に発生します。すぐに経営が軌道に乗るとも限らないため、資金計画を立てるときは固定客がなかなか付かなかった場合のリスクも踏まえ、ある程度まとまった金額を手元に残しておくことが大切です。

車両管理の不備が原因で失敗

Bさんは三年前から小規模なレンタカー事業を始めましたが、当時は車両の台数も顧客も少なかったため、コスト削減のためにExcelを使って車両管理を行っていました。
幸いにも固定客が付き、経営は順調。予約が埋まって断るケースも増えてきたため、思い切って車両を増やし、事業規模を拡大しました。狙いは当たり、利用客は増加しましたが、管理する車両が増えた分、事務手続きも倍増。その結果、顧客からの予約の問い合わせに遅延が発生したり、予約の記載ミスによるダブルブッキングが生じたりするトラブルが頻発しました。

その結果、顧客満足度が下がって利用率も減少し、新しく購入した車両代の支払いも厳しくなり、閉業せざるを得ない状況になりました。

Bさんの失敗の原因は、アナログ管理の限界に気付くのが遅れたことです。Excelや紙を用いた管理はコストがかからないこと、誰でもすぐに使いこなせるなどのメリットがある一方、ヒューマンエラーのリスクが起こりやすく、業務の手間がかかるデメリットも抱えています。

特にレンタカー事業では、ヒューマンエラーによるダブルブッキングや、車検・点検漏れは事業に致命的なダメージを与える可能性があります。事業規模がある程度大きくなったら、車両管理システムなど便利なツールの導入を検討した方が良いでしょう。

料金設定の誤りが原因で失敗

観光地に住んでいるCさんは、旅行客や観光客の需要を見込んでレンタカー事業を開業しました。ただ、地元には既に多くの競合他社がいるため、新規顧客の獲得は簡単なことではありません。そこでCさんは競合リサーチを徹底し、どこよりも安い料金設定を採用し、開業に当たって地域最安値をうたった広告も打ち出しました。

見込み通り、オープン当初から利用客が殺到し、集客は大成功。しかし用意できる車両には限りがあるため、キャパシティを超える予約が入って断らざるを得ず、期待していたような薄利多売は実現できませんでした。そのうちに観光シーズンが終了し予約数は減少し、ハイシーズン中の売上も経費を差し引くとさほど残っておらず、閑散期の運転資金を工面するのが困難になりました。

Cさんの失敗の原因は、利用料金を安く設定し過ぎたことです。料金を安く設定するのは集客に有効な手段の一つですが、レンタカー事業では保有する台数分しか車を提供できないため、1台当たりの利益を大幅に削ると経営が立ち行かなくなる恐れがあります。

また、Cさんのケースのようにハイシーズンと通常期の需要に大きな差が生じる場合、いくら観光地であっても閑散期には集客に力を入れる必要があるでしょう。収益が少なければ広告宣伝に回す資金が不足しやすく、通常期の運転資金に悩まされる原因にもなります。そのため、レンタカー料金を決める際は安易に低料金に設定することなく、収支のバランスを考慮して慎重に検討することが大切です。なお、時期によってレンタカー需要の波が大きい場合は、需要に応じて価格が変動するダイナミックプライシングを採用するのも一つの方法でしょう。

レンタカー事業で失敗しないためには? リスク対策のポイント4選

レンタカー事業を成功に導くためには、想定されるリスクについて事前に十分な対策を講じるのが大切です。ここではレンタカー事業で失敗しないために必要なリスク対策を4つ紹介します。

事前準備を徹底する

資金不足や集客失敗の原因の多くは、事前準備の不備にあります。「経験者がこれくらいもうかると言っていたから」「平均的なコストはこのくらいだから」など一部の体験談やデータをうのみにして事業を開始すると、想定外のリスクに見舞われたときに対応できない可能性が高いです。

期待できる収益や想定されるコストは、開業するエリアや事業所の立地、周辺のターゲット層、競合他社の存在など、さまざまな要素によって大きく変動するため、モデル収益や体験談だけで判断するのではなく、自分でもしっかりマーケット分析を行うのが大切でしょう。

具体的には、レンタカー事業の市場動向をチェックする、競合他社の料金やサービスをリサーチする、その地域に住んでいる人の属性や年齢層を調べるなどです。経営の方針やターゲットにするユーザー層などを決定したら、売上目標や資金計画など具体的な事業計画を策定します。特に資金計画については、初期投資だけではなく開業後の運転資金も確保する必要があるため、自己資金だけではなく金融機関からの融資や自治体の助成金・補助金などの活用も検討しましょう。

車両管理を最適化する

車両管理の不備を防止するためには、車両の清掃・点検や整備・修理、自動車保険の管理、車両の在庫管理といった各種管理業務を最適化する必要があります。具体的には、予約管理システムや車両管理システムを導入し、これらの業務の一部、または全てを自動化させる方法が有効です。

業務が自動化されれば、管理業務にかかる手間や時間を省けるのはもちろん、誤入力や入力ミスなどのヒューマンエラーのリスクが減り、クレームやトラブル対策にもなります。

特にクラウド型のシステムなら情報がリアルタイムに更新されるため、予約受付や配車がスムーズになり、顧客満足度の向上を期待できます。なお、システムの機能や性能、利用料金はツールによって異なるため、複数のシステムを比較し、自身のニーズや目的に合ったものを選ぶのが大切です。

フランチャイズ加盟で開業する場合は、本部が導入しているシステムを利用するため、加盟先を検討するときの比較材料としてチェックしてみるとよいでしょう。

ターゲット層に合わせた集客戦略

新規顧客を呼び込むには、ターゲット層に合わせた集客戦略を立てることが大切です。例えば、出張で利用を検討しているビジネスパーソンをターゲットにするなら、小回りが良くて燃費の良いコンパクトカーや、ハイブリッドカーなどを取りそろえていることを前面にアピールすると、ユーザーニーズと合致しやすくなります。

逆に、地域住民の日常生活の足として活用してもらうことをメインとするのなら、周辺の住民に対してチラシやDMを配布する、地域のフリーペーパーに広告を掲載するといったアナログのアプローチも有効な手段です。このように、ターゲット層に合わせて適切なアプローチ方法を選択すれば、無駄なく、効率的な集客を目指せるでしょう。

トラブル対策を講じる

全ての車両は自賠責保険への加入が義務付けられていますが、保険の対象となるのは人身補償のみで、しかも必要な補償しか受けられません。大きな事故を起こした場合、自賠責保険だけではまかなえない可能性が高いため、全ての保有車に任意保険をかけておくことが大切です。

なお、補償内容は保険商品やプランによって異なります。補償内容が充実しているほど、もしもの場合の助けは大きくなりますが、保険料の負担もかさむため、必要な補償と予算のバランスを考えて保険を選ぶようにしましょう。

また、事故を含むさまざまなトラブルが発生した場合を想定し、対応マニュアルを準備しておくことも重要なポイントの一つです。スタッフによって対応に差があると、契約者との間で言った、言わないの議論が生じたり、事故対応が遅れたりする原因になります。

トラブル対応マニュアルがあればスタッフも落ち着いて対処できるようになり、接客品質も一定の水準を保てて、顧客満足度の低下を防げるでしょう。他にも、悪質な利用客によるいたずらやハラスメント防止として、重要事項の説明とルール違反を犯した場合の罰則を周知し、カスタマーハラスメントに対する基本方針を掲げるなどの対策を講じておくと、悪質な行為への抑止力となるでしょう。

なお、フランチャイズの場合は事前に業務マニュアルや利用規約などが策定されているため、一から作成する必要はありません。

レンタカー事業は低リスク、低コストで始めよう

レンタカー事業では、利用中の事故や故障、顧客からのクレーム、集客や資金計画の悩みなど、さまざまなリスクが発生する恐れがあります。リスクに対して適切な処置を行わなければ、資金不足や顧客満足度の低下、収益の減少などにつながり、場合によっては閉業を余儀なくされることもあります。レンタカー事業で失敗しないためにも、事前準備やリスクへの対策は入念に行うことが大切です。

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